IoT宅配ボックスのシステム連携をサーバーレスで実現
LIXILのエクステリア事業部が取り扱うスマートエクステリアは、室内からエクステリア(敷地内の屋外空間全体)まで見守るホームネットワークシステムです。スマートフォンを活用してカーポートのカメラを確認したり、カーゲートを開閉したりできるもので、2016年に販売を開始しました。
そのシステムの一翼を担うデバイスとして、宅配ボックス「スマート宅配ポスト」があります。
宅配ボックスは集合住宅ではよく見かけますが、戸建て住宅ではあまり見かけません。しかし、元々ポストやインターフォンを扱っていたLIXILであれば、普及できるだろうという見込みがありました。特に昨今はEコマースの大流行などから、宅配事業者が悲鳴をあげるほど物流が増加。住人不在による再配達などの手間をなくすなど、配送・受取側双方の解決策が宅配ボックスです。
これをホームネットワークシステムに接続することにより、荷物の受け取り状況をスマートフォンでいつでも確認できるようになります。そして社会サービスとつなぐためのサーバー構築にあたってクラスメソッドにご依頼いただき、サーバーレスアーキテクチャを活用して構築しました。
LIXIL Housing Technologyエクステリア事業部エクステリア商品開発部 第三商品開発室 開発3グループ主査の佐々木義さんは「クラスメソッドの開発チームと一丸となって取り組むことができました。私も開発チームの一員として文字通りスクラムを組んで開発できたと思っています」と振り返ります。
メーカーとしてはIoTに取り組まなければならないという認識もあり、宅配ボックスとネットワークの接続を考慮したとき、クラウドサービスの活用が真っ先に頭に浮かんだといいます。社内システムの担当をしていた経験もある佐々木義さんは「オンプレミスでサーバーメンテナンスをするのはユーザー部門では対処しきれません。今はクラウドの時代です。プログラマーだけでなくビジネスをデザインする側も、その価値を提供するためにクラウドを活用できるものだと考えます」と語りました。
すでにあるホームネットワークシステムに宅配ボックスからの情報を受け渡す機能としてパブリッククラウドとして導入数でナンバーワンを誇るAWSを活用するべきと考え、AWSのプレミアパートナーを含め複数企業に打診。また、リリースサイクルを高速に回すために、機能ごとに開発、デプロイが実施できるアーキテクチャを基本方針として手探りの形ながらご自身で提案依頼書(RFP)を作成しました。
RFPに対する回答として、単純にできる・できないだけではなく、できない事柄についての代替案を素早く提案したのがクラスメソッドでした。こうして2018年2月には当社の支援が決定し、3月中旬から開発がスタートしました。
ちょうどその頃、クラスメソッドではサーバーレスアーキテクチャの開発・運用に関する専門部署を創設。2014年にAWSがAWS Lambdaを発表してからクラスメソッドは、オウンドメディア「Developers.IO」でもサーバーレスに関する技術情報を積極的に公開。その情報発信も信頼に繋がってのご依頼となりました。
宅配ボックスはLIXIL様が提供するものですが、システムの将来を考えればEC事業者や宅配事業者、ハウスメーカーなどと連携していく可能性もあります。そのためのIoT基盤となる連携部分を足回りとしてしっかり固めるため、AWSのサポートやクラスメソッドと連携して技術的裏付けを取りながらAPI仕様を作り上げました。
宅配ボックスの状態を確認してホームネットワークシステムのサーバーへ状況を伝える処理部分をサーバーレス環境で構築しましたが、開発環境と体制についてLIXIL佐々木さんの理解の大きさ、深さが効率化に大きく関与しました。
発注元が発注先に丸投げするのではなく、技術的な根拠・知見だけではなく開発スタイルを理解することで意思決定メンバーとしてコミットすることで、開発がスムーズに進んだ案件でした。
クラスメソッドの開発メンバーが試用してみたいというサーバーレス関連のサービスが出てきたときに、その試験環境を速やかに提供いただくなど、クラスメソッドに対する支援も十分にしていただきました。
宅配ボックスのIoTシステムアーキテクチャでは、ユーザーが宅配ボックスを購入すると「ホームユニット」を介してシステムとつながり、IoT機器の状態(荷物の個数や配達された、集荷されたなど)を記録します。状態の記録やIoT機器に対する制御が行えることで、将来的には社会サービスの提供者向けAPIによる操作も可能になる構成にしています。
IoTと一口に言っても、デバイス、IoTサーバー、IoT管理画面などビジネス上の要求を実現するために必要なアプリケーションが多数あります。本案件では、AWS IoT、AWS Lambda、Angularといったサーバーレスのためのサービスやフレームワークをうまくつかうことで、効率的に開発できました。
また、ステークホルダーも多く、クラスメソッドの開発メンバーの場所もばらばらでした。当然お客様とも気軽に行き来できるような距離感ではありません。しかし、オンラインミーティングを活用したり、GitやBacklogといったコラボレーションツールを使うことでチーム開発を進めることができました。
LIXILの佐々木さんは「クラスメソッドの開発チームと一丸となって取り組むことができました。私も開発チームの一員として文字通りスクラムを組んで開発できたと思っています」と振り返ります。
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